毎日メディアカフェ(毎日新聞)で講師をしました。
昨日2016年2月17日 千代田区一ツ橋1の毎日新聞社1階「毎日メディアカフェ」の
イスラーム教の「ハラール」について学ぶセミナー「わかりやすいハラール解説講座」で講師をいたしました。
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2020年東京オリンピックに向けて関心が高まっているイスラムの「ハラール」について学ぶセミナー「わかりやすいハラール解説講座」が2月17日、毎日メディアカフェで開かれました。
講師はハラール研究者(アラブ・コンサルタント)の岩口龍児さん。岩口さんは立教大学法学部国際比較法学科、アラブ・イスラーム学院卒。スーダン、イエメンに留学、マレーシア、サウジアラビアに駐在した経験があり、現在は「アラブ・コンサルティングサービス東京」代表です。
ハラールは特に食の分野で注目され、豚肉を食べないなどの決まりのあるイスラム教徒向けに、イスラム教で合法の食べ物であることを示す「ハラール認証」を取得する動きも出ています。
岩口さんはまず、「アラブ、イスラムについて分からないと理解できない」と語り、アラブ、イスラムについて説明しました。アラブは「アラビア語を話す人々が住む地域」のこと。アラビア語は国連公用語の一つで、西アジアや北アフリカの22カ国以上の国・地域で話されている言語です。岩口さんはアラブの代表的な食べ物である「フェラフェル」(ヒヨコマメから作ったコロッケのような食べもの)、「タジン」(北アフリカの鍋料理)などを紹介しました。アラブ音楽や民族衣装についても紹介し、「イラクのフセイン大統領の像が倒された時、皆が草履でたたいていたのが印象的でした。草履は公式の場所でも履きます。日本と同様に、鷹狩り文化があり、競馬も大好きです」などと話しました。
続いて、イスラムについての説明です。「世界で一番イスラム教徒の人口が多い地域はどこか分かりますか?インドネシアは2億3000万人のうち88.1%がイスラーム教徒だと言われています。パキスタン、バングラデシュもイスラム教徒が多い。インドも16億人の1割がイスラム教徒です。『世界がもし100人の村だったら』という本がありましたが、これが出た1992年に比べて、現在はイスラム教徒は(100人中)4人増えていることになります」
イスラムとは「神に帰依する」という意味だそうです。よく「アラーの神」と言われますが、これは間違い。「アラーは神なので、二重遣いになる」とのこと。「聖典コーランはアラビア語でなければ唱えません。日本国内には、イスラム教徒は10~20万人と言われます。握手は右手でします。左利きの方はご注意を。右手の方がよいと言われます。食べるときは右手で、物を渡すときも右手です。ちなみに、私が留学していたイエメンは、アラビア語で『右』という意味です」
イスラーム教のしきたりでよく知られるのは断食(アラビア語で「サウム」)。「ラマダーン」は「断食月」のことです。夜明けから日没までの間は何も食べられないし、水分も取れません。ただし、「病人や妊娠中、育児中の母親、子ども、旅行者などは許される」とのこと。
さて、いよいよ、「ハラール」です。「ハラール」とは「イスラム法上、合法なもの」という意味。その反対語は「ハラーム」です。
岩口さんは「ポルノや利子などがハラームです。日本での関心は食事に関するハラールのみですが、食事に限ったものではありません」と誤解を正しました。食に関しても誤解が多いそうです。「認証がないとイスラム教徒は食べられないのかというと、そうではありません。米や水にもハラール認証がついている商品がありますが、米も水もハラールです。食べて良いものか、食べてはいけないものかは、個々の知識と信仰において個々が判断することであり、私はハラール認証は必要ではないと思います」
イスラム教徒の禁忌として有名なのは豚です。岩口さんは「豚はもともとユダヤ教の食の禁忌(という説もあります)です。汚い表現で恐縮ですが、豚肉を食べさせるのは、無理やり汚物(不浄なもの)を食べさせるようなものです。イスラム教徒に豚肉を食べることを尋ねると、『気持ち悪い』『吐きそう』などと言います。それぐらい気持ち悪いことなのです」と語ります。しかし、「豚の骨や脂肪に由来する酵素の全てが禁じられていると確定しているわけではない」と主張する学者もいるとのこと。
厳しい基準として「マレーシアの認証基準」というものがあります。この基準に影響を受けている人はゼラチン、化粧品、酢などもだめになるそうです。アルコールについては、「アルコールは酔っ払ってはいけないと言われているのであり、アルコール自体がだめなわけではない。アルコール消毒は病院で普通に使っています。サウジアラビアでは、食事の後にアルコールで手を消毒しています」と話しました。
肉食については、人によって次のように認識が違います。
① 鶏肉、羊肉、牛肉であれば食べる
② 原産国がキリスト教の国であれば食べる
③ ハラール肉であれば食べる
ハラール肉というのは、血を抜く際の儀式をして処理された肉のことです。
最後に、岩口さんは「一番の問題は成分表示です。アレルギー対応レベルできちんと表示すればよい。できれば、英語の成分表示が望ましいです」と話しました。
岩口龍児さんのブログ→岩口昇龍「アラブでお仕事を成功させるコンサルタント」のブログ http://ameblo.jp/a-cstokyo/
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